南北朝時代から続く庶民の苗字があった! 日本最古の庶民の苗字とは?
ニャンと室町時代に行ってみた 第5回
姓と苗字は読み方が違う!
中世人の名前についてみるためには、まず姓と苗字の違いについて知っておかなければなりません。姓とは源氏・平氏・藤原氏など天皇が上から与えた公的な名前です。血のつながりが重視され、父方に血縁関係をたどる氏人はすべて同じ姓になります。
一方、苗字は私的につけた家の名で、必ずしも血縁関係は必要なく、地域的・社会的なつながりが重視されます。足利・武田・佐竹などの苗字の多くは、武士の本領の地(足利荘・武田郷・佐竹郷)にちなんで、その支配の正統性を主張するために自ら名乗ったものです。ただし苗字を持つ人々も、たとえば足利・武田は源氏、北条は平氏の姓をもっており、公的な場では源朝臣義満(足利義満)、平朝臣義時(北条義時)などと称しました。
読み方にも違いがあり、姓の場合は藤原道長、平清盛のように姓と実名の間に〝の″をつけて呼びますが、苗字は北条義時、足利尊氏のように続けて呼びます。豊臣秀吉は〝とよとみひでよし″と呼ばれることが多いですが、豊臣は後陽成天皇に賜ったれっきとした姓なので、正確には〝とよとみのひでよし″と呼びます。
では、室町時代の民衆はどのような苗字をもっていたのでしょうか。